ジャーニー法(旅法)記憶術とは?~メモリースポーツでは必須の記憶術

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ジャーニー法(旅法)とは?

ジャーニー法とは、ズバリ、「場所法」のことです。場所法の異名が「ジャーニー法」ということですね。

場所法とは?シモニデスのローマンルーム法

何故、ジャーニー法と言うのかといえば、これは同じ記憶術の「ペグ法(かけくぎ法)」を意識して、「ジャーニー法(旅する法)」と命名したんだと思われます。

ペグ法は、かけくぎ(フック)のように身体などに、関連付けて覚えていく記憶術です。これに対してジャーニー法は、部屋などを巡る・旅をするように、部屋などに関連付けて覚えていく記憶術です。

ですので「ジャーニー法(旅法)」と名付けられたのでしょう。

人は場所の記憶が得意

人は「場所を覚えるのが得意」「場所の記憶は明瞭」ということが明らかになっています。

たとえば、旅行へ行った先がそうですね。何年経っても覚えています。また部屋の中で起きた印象的な出来事もよく覚えています。

自宅、よく行くお店などを思い浮かべるとわかりますが、慣れ親しんでいる場所ほど、簡単に思い浮かべることができます。しかも想像の中でも迷うこと亡く歩き回ることができます。

このように人は「場所」が絡んだ記憶はハッキリと覚えています。この生理的&本能的な仕組みを活用したのが「ジャーニー法」ということなんですね。

ジャーニー法は海馬の性質を活用した記憶術

ジャーニー法は「海馬を活用した記憶術」ともいえます。海馬は、記憶を司る脳として有名ですね。

海馬には「場所細胞」という場所(位置)を記憶する特殊な細胞があり、ジャーニー法は、この海馬の性質を活用した記憶のテクニックになります。

それ故に「場所」を「イメージ」して何かを「くっつける」記憶術の方法は、記憶の定着率が高くなるわけなんですね。理にかなっています。

記憶術で頭が良くなる?海馬が発達したメモリースポーツの脳

ジャーニー法はメモリースポーツで使用の記憶術

ジャーニー法は、世界記憶力選手権で多用されています。といいますか、メモリースポーツに出場する選手たちは全員使用している記憶術です。

ペグ法や連結法(リンク法)よりも、短時間で大量の情報を正確に覚えることができるからですね。このことは実際に出場した選手達が証明しています。たとえばこちらの動画がそうですね。

【中学1年生】驚異の記憶力!2年連続日本一の高岡柚月さんを取材

この動画を見るとわかりますが、中学生がメモリースポーツに出場して、ジャーニー法などを駆使してトランプのカードを、短時間で正確に大量のカードを暗記できることを言っています

ジャーニー法のやり方

ジャーニー法のやり方は、場所法のやり方と同じです。こちらでは、場所法のやり方をくわしく解説していますでの、こちらをお読みになってください。

場所法のやり方~誰でもできる4ステップ方法!

ですが、この記事でも簡単に説明したいと思います。

①記憶の宮殿というリストを用意する

ジャーニー法は、覚えたいことを格納するための「リスト(記憶の宮殿)」が必要です。

ジャーニー法では、旅のルート(ジャーニーのルート)にしたがって、よく知っている「場所(部屋)」を複数選んで(用意して)リスト化します。

たとえば、①玄関、③収納部屋、③リビング、④お風呂、⑤トイレ、⑥寝室、⑦和室、⑧ベランダといった具合です。自宅などの空間を「記憶の宮殿(リスト)」とします。

で、これらのリスト(記憶の宮殿)に、覚えたいことを関連付けて覚えていきます。

ジャーニー法とは、まさに「人間は場所を覚えやすい」という性質を利用した記憶術なんですね。

②刺激のあるイメージとくっつけ

ジャーニー法では、

  1. イメージする
  2. くっつける

という2つのアクションを行って、イメージで覚えます。

刺激のあるイメージを作る

で、「イメージ」を「くっつける」際には、

  1. 五感をフル活用する
  2. 突拍子もない様子
  3. 動きを付ける

というのを踏まえてイメージングをします。要するに「刺激のあるイメージをする」ということですね。

ジャーニー法の具体例

ではジャーニー法を使った具体的なやり方をご説明いたします。

①覚えたい情報を用意する

まず覚えたい知識などの情報を用意します。事例としては、

①自由の女神、②ラーメン、③ソーセージ、④富士山、⑤カレー、⑥時計、⑦エッフェル塔、⑧ピザ

②記憶の宮殿を用意する

まず「記憶の宮殿(リスト)」を用意します。

①玄関、②収納部屋、③リビング、④お風呂、⑤トイレ、⑥寝室、⑦和室、⑧ベランダ

③刺激のあるイメージとくっつけを行う

で、覚えたい情報と記憶の宮殿を、刺激のあるイメージとくっつけによって覚えます(イメージ化します)。このときできるだけあり得ないような様子をイメージして、動きもつけて、五感で感じまくります。

覚えたい情報 記憶の宮殿 覚え方
①自由の女神 ①玄関 玄関に自由の女神がそびえ立っている
②ラーメン ②収納部屋 収納部屋でラーメンが大暴れしている
③ソーセージ ③リビング リビングでソーセージが歌っている
④富士山 ④お風呂 お風呂で富士山が轟音をあげて大爆発している
⑤カレー ⑤トイレ トイレで香り豊かなカレーを食べている
⑥時計 ⑥寝室 寝室に時計が空から落下してきた
⑦エッフェル塔 ⑦和室 和室にエッフェル塔が立っていて天井を突き抜けている
⑧ピザ ⑧ベランダ ベランダに香ばしい巨大なピザが落ちてきた

こんな感じです。

④ジャーニー法で覚えたことを復習する

以上のようにジャーニー法で覚えたなら、復習をします。

どうですか?

スラスラと思い出すことができると思います。

事例は世界のGDPランキング1位~8位の国

ちなみにこの事例で覚えたことは、2024年世界のGDPランキング1位~8位の国です。

世界のGDPランキング 覚えたい情報 説明
1位:アメリカ ①自由の女神 自由の女神は「アメリカ」
2位:中国 ②ラーメン ラーメンといえば「中国」
3位:ドイツ ③ソーセージ ソーセージといえば「ドイツ」
4位:日本 ④富士山 富士山といえば「日本」
5位:インド ⑤カレー カレーといえば「インド」
6位:イギリス ⑥時計 時計(ビッグ・ベン)といえばイギリス
7位:フランス ⑦エッフェル塔 エッフェル塔といえば「フランス」
8位:イタリア ⑧ピザ ピザといえば「イタリア」

この事例では、実は「変換記憶術」も使っています。ですが、このようにして覚えていきます。

変換法記憶術~変換・分解・置換・外連想の4つのテクニックからなる方法 変換力【記憶術の基本】~文章・数字・専門用語・概念を覚える

ジャーニー法のルーツはシモニデス

ちなみにジャーニー法は、古代ギリシアの「シモニデス」にルーツがあります。有名な「天井崩落事故」ですね。

くわしいことは、こちらで説明していますが、紀元前500年頃、とある宴会天井崩落事故があったものの、シモニデスは、テーブルのどの席に誰が座っていたのかを映像(イメージ)で覚えていたことから、犠牲者を判別できたというエピソードです。

つまりシモニデスが覚えていたのは、宴会に来ていた人の名前や顔ではなく、彼らが座っていた「場所」だったということなんですね。

で、これが「場所法」つまり「ジャーニー法」が誕生したきっかけです。その後、ジャーニー法は、記憶術の中でも最強の記憶術として今でも使われ続けています。

シモニデス~記憶術の起源「座の方法(ローマンルーム法)」【古代ギリシア BC500年】

ジャーニー法の使用者は多い

ジャーニー法は、メモリースポーツ(世界記憶力選手権)に出場する選手のほか、古代ギリシアの「シモニデス」、古代ローマの弁論家「キケロ」、古代ローマの修辞学書「ヘレンニウスへ」達も使用。

政治家キケロの記憶術【ローマ時代 BC100年頃】 記憶術における三大古典【紀元前後ローマ時代】

さらには小説や映画に登場する人達も使用しています。たとえば、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター、シャーロック・ホームズらも使用。

小説や映画では、ジャーニー法とは言わず、「記憶の宮殿」といっています。

ジャーニー法は異名が多い。

冒頭で説明した通りで、ジャーニー法は異名が多い記憶術です。

「場所法」「記憶の宮殿」「座の方法」「ローマンルーム法」「ロキ法」「記憶の宮殿」などなど。

記憶術・場所法とは?メリットもデメリットも完全解説!

本質的には、記憶術の基本スキルである「基礎結合法」「イメージ連結法」と同じだったりします。

基礎結合法記憶術~一番大事な基本テクニック イメージ連結法記憶術~誰でもイメージで覚えられる究極の記憶法

ジャーニー法は最強の記憶術

しかし、シモニデスによって考案されてから2500年が経った現在では、メモリースポーツ出場の選手のほか、資格試験や学校の受験、勉強、仕事、スピーチ、読書などでも広く使われています。

中世のキリスト教では、修道院や大学で使われていました。知識を正確に暗記する際に記憶術が役に立つことは、キリスト教の聖人やベーコン、デカルトらの哲学者も認めていたほどです。

ジャーニー法は、記憶法の中でも最高のテクニックなことは現在も変わりありませんね。

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