記憶術の高額化と秘匿化~記憶術で人生に成功する【19世紀後半】

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記憶術が高額化する19世紀

記憶術は、19世紀に入ってからファイネーグによって欧米に広まります。

グレガー・ファイネーグ~記憶術をビジネスにした元祖【19世紀初期】

この後、続々と記憶術の専門家が多くなります。記憶術の専門家は、大学の先生、修道士、知識人が多く、記憶術がアカデミックな分野で使われていたことは明らかでした。

大学教授らの記憶術専門家の増加と欧米での流行【19世紀】

記憶術は、知識人を中心に習得され、世間に広まっていったようですが、やがて記憶術は高額商品となっていきます。

記憶術が秘匿化される

また記憶術のセミナーは高額になる一方、記憶術のテクニックは秘密・秘匿情報の性格を帯びるようになります。いわゆる「秘伝」扱いになっていきます。

記憶術のノウハウを隠したり封印し、秘密情報扱いをして、一子相伝の如きテクニックとして、高額な報酬を対価にして伝承されるようになります。

記憶術は高額なセミナーとして、世界各地で開催されます。この秘匿性が高額なセミナーやビジネスにつながるわけですね。現在も高額な「記憶術講座」がありますが、この先駆けともいえます。

記憶術は人生に成功をもたらす

記憶術が一子相伝、秘密、秘伝扱いされるようになった理由は後述しますが、ファイネーグがヨーロッパ各地を旅行しながら記憶術を教えた結果、かなりの広まりを見せます。

このとき、記憶術によって「知識を覚えることは人生の成功をもたらす」ことが、人々の間でも知られていったようです。

つまり記憶術が「人生に成功をもたらす」。

記憶術が内在するこの効果が明らかになってきたため、記憶術への関心と期待から、価値が高まり、記憶術は「高額化」「秘匿化」していったようです。

こうした傾向は現代でもみられますが、この始まりはファイネーグに端を発していたということのようです。

グレガー・ファイネーグ~記憶術をビジネスにした元祖【19世紀初期】

記憶術の高額化は現代にも受け継がれる

ファイネーグは、記憶術の歴史の中でも重要な人物です。というのも、19世紀の欧米で記憶術を使用し広めていた人達のほとんどが、ファイネーグの記憶術を使っていたからです。

ファイネーグは現代記憶術の中興の祖といっていいかもしれませんね。

記憶術が秘匿情報となり、高額商品化していくことは、その後ずっと続きます。現在でも様相は全く同じです。

現在では、最も高額な記憶術講座は、20万円くらいします。欧米での記憶術講座の価格はわかりませんが、おそらく記憶術の高額化は世界的な傾向ではないかと思います。

1時間の記憶術講義代が約8万円

ちなみに19世紀のアメリカにおける記憶術講座の金額は、1時間の講義で27ドル(現在の金額で約76,000円)だったといいます。

たった1時間の講義でです。

しかも入門代として5ドル(約14,000円)を取っていたようです。

で、もしも記憶術の内容を他に漏洩したなら、500ドルの罰金(約135万円)が課せられる契約を取り交わされたといいます。

1時間で約8万円というのはかなりの高額です。現代の記憶術講座よりも高いですね。いえ、現代の記憶術講座のほうがもっとリーズナブルです。

しかし記憶術の価格が高くなるのは、今から約200年前の19世紀から始まっているということですね。

記憶術で社会的地位と財産が得られる

ところで何故、記憶術が高額化し、また秘匿化・秘密化されて、一子相伝の扱いとなっていったのでしょうか?

その答えは先述もしていますが、記憶術は、本当に暗記を助ける効果があって、これを利用したならば立身出世も可能であり、記憶術が成功術としての価値があることが分かってきたからです。

つまり、記憶術によって社会的地位を得て高収入を得ることができる、あるいは仕事で成功することができることがわかってきたからです。

実際、日本でも明治の時代に記憶術がブームになっています。で、記憶術で司法試験に合格し弁護士になった人も出ています。

あの渡辺式記憶術を生み出した渡辺剛彰さんの父親の渡辺彰平さんがそうですからね。

ワタナベ式記憶術【渡辺剛彰】~実際に使ったレビュー・口コミ・やり方

渡辺彰平さんは井上円了の記憶術を学んでいます。で、司法試験に合格し弁護士になっています。いわば、記憶術を使って人生の勝ち組になったわけですね。

記憶術は成功するテクニック

記憶術を使って社会的に成功した事例は他にも数多くあります。

現代の日本においても、記憶術を使って東京大学に合格した人は多くいます。

記憶術と東大合格との関係~記憶術の指導者に東大合格者は多い

記憶術を使って「人生に成功する」「立身出世する」ということは、200年前からも知られていたことであり、記憶術は「人生で成功する秘密テクニック」として扱われるようになったのも当たり前といえば当たり前でしょう。

ましてアメリカンドリームのように、チャンスさえあれば成功できる時代であるなら、記憶術は成功法則の最たる秘密兵器にすらなります。

これだけパワフルな効果をもたらす記憶術を、安易に公開しないようになったのも何ら不思議ではありません。

重要なスキルや情報は「簡単に公開しない」というのも理解できます。このことは現代でも同じです。

記憶術は胡散臭い・怪しいと思われるほうが都合がいい?

こう言っては何ですが、記憶術は「怪しいもの」「胡散臭いもの」として誤解されていたほうが、実は都合が良いところもあったりします。

記憶術を知る人を増やすことなく、その効果を知る人だけが記憶術を享受できることのほうが、差別化もできてメリットも大きくなるからです。

ちょっと嫌らしい考え方ですが、記憶術にはこうした側面があることも否定できません。

記憶術は注目の記憶の技術

記憶術は、20世紀の後半から再び日本でも公開されるようになっています。より進化した現代記憶術へと発展もしていきます。

現代の記憶術は、古代から伝承される記憶術に加えて新しいノウハウも加味されてきています。

実は、新しい記憶術のほうがおすすめだったりしますね。

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