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ペグ法という記憶術とは?
ペグ法という記憶術があります。電話番号や歴史の年号、暗証番号といったように「数字」の記憶を得意とする記憶術です。
即効性が高く、記憶術の基礎ができていれば誰でも使うことができます。記憶術の中でも比較的簡単でありながら実用性の高い記憶術になります。
ペグ法とは別名「かけくぎ法」ともいいます。「フックの法」ともいいます。
原理的には「連想結合法」になります。
ペグ法は、後述しますがドイツのウィンケルマンが17世紀に創案した記憶術になります。
別名「数字変換法」ともいいます。「数字変換法」は、数字の暗記に特化した「ペグ法」ともいえます。
数字変換法記憶術~歴史年号・パスワード・生年月日など数字の暗記に最適
ところで「ペグ法」は、実のところ古典的記憶術の一つになります。「場所法」の亜流でもあります。ペグ法に似た記憶術としてはメトロドロスの黄道十二星座・占星術的記憶術もあります。
記憶術における三大古典【紀元前後ローマ時代】 場所法のやり方~誰でもできる4ステップ方法! 哲学者メトロドロスが記憶術を完成~占星術的記憶術【BC300年】
ペグ法は数字やリストの暗記に最適
最初にも書いた通りで、ペグ法は歴史の年号や電話番号、暗証番号といった「数字の暗記」に最適な記憶術です。またリストを暗記する場合にも役に立ちます。さらには、スピーチする際の要点を覚えておく場合も役に立ちます。
ペグ法といえば、一般的には「数字を覚える」ために使われていると思われています。けれども数字だけでなく、「リスト」を暗記するテクニックもあります。ですのでペグ法は、
1.無意味な数字の暗記
2.順番通りに並んでいるリストの暗記
を得意としている記憶術といえます。
さらには、結婚式や朝礼、会合で「挨拶」をするときや「スピーチ」をする際にも使うことができます。
言いたいことの要点をペグ法で覚えるわけですね。話しをしたいことの要点をペグ法で「リスト」化しておくわけです。原稿無しで、要領よく順序立ててスピーチができますので、非常に役立ちます。
あと、ペグ法がユニークなのは、順番通りに数字を思い出すだけでなく、途中からも思い出すことができる点にあります。
ペグ法のやり方は大きくわけて2つあります。まず「数字を覚える」ペグ法からご紹介します。
ペグ法のやり方~ペグテーブルを用意する
ペグ法を使って歴史の年号や暗証番号、電話番号、あるいはランダムを暗記する場合は、まず下準備が必要です。
その準備とは「ペグテーブル」を用意することです。ペグテーブルの作り方には2種類あります。
が、どちらも「語呂合わせ」を使って作成します。
一桁の数字に対応したペグテーブルの作り方
ペグテーブルの作り方で一番簡単なのは「一桁の数字」に対応したものです。つまり0~9の10個の数字に対応しているということです。
語呂合わせに従って、0~9の数字に対して具体的な物事を当てはめます(置き換えます)。たとえば、
0・・・霊柩車
1・・・いちご
2・・・にんじん
3・・・サンダル
4・・・ヨット
5・・・ごましお
6・・・ロケット
7・・・七面鳥
8・・・蜂
9・・・クジラ
こうした塩梅です。このように0~9の数字に具体的な物事を当てはめておく準備をします。これが最もシンプルな「ペグテーブル」です。
二桁の数字に対応するペグテーブル
一桁の数字に対応したペグテーブルでは、文字通り一桁の数字にしか対応できません。
で、0~9の数字だけでは、桁数が多くなると記憶術で覚えるときに煩雑になります。
実際は二桁のペグテーブルのほうが使い勝手がよくなります。つまり00~99の100個の数字に対応したテーブルのほうが使いやすいということです。
なぜなら記憶術を使って覚える回数が減るからです。一桁に比べて1/2になります。効率的に暗記ができます。
ペグ法の実際では、最低でも二桁のペグテーブルを用意しておきます。たとえば、
00・・・ドーナッツ
01・・・おいらん
02・・・乙武さん
03・・・おっさん
04・・・お酢
05・・・まるこ(ちびまるこ)
といったように二桁の数字に対応したペグテーブルですね。これが00~99まで100個用意しておきます。
で、この100個のペグテーブルを使って覚えていくようにします。このようにしておくほうが暗記しやすくなります。
一桁づつ覚えるよりも、二桁づつ覚えるほうが効率的でスピーディーです。
ただし下準備が大変です。で、この下準備の「ペグテーブル」の作成こそが、ペグ法のコツにもなっています。「いかにして使い勝手の良いテーブルを作るのか」ということですね。
ペグ法記憶術で数字を覚える具体例
ペグテーブルの準備ができたなら、具体的にやってみましょう。具体例として
・歴史の年号
・電話番号
の2つをあげてやってみます。
ペグ法で歴史の年号を覚える
では歴史の年号の暗記を具体的にやってみましょう。たとえば、
1868年 王政復古の大号令、小御所会議、戊申戦争
といった年号を暗記する場合ですね。ここでペグ法を使います。最初に下準備した「ペグテーブル」を使います。
1・・・いちご
8・・・蜂
6・・・ロケット
8・・・蜂
こうなりますね。で、「1968」を「連想結合法」で覚えます。
【年号の暗記】
- 「1(いちご)」に、「8(はち)」が針を刺している。
- その「8(はち)」に、「6(ロケット)」が衝突した。
- その「6(ロケット)」に、別の「8(はち)」が突き刺している。
また「王政復古の大号令、小御所会議、戊申戦争」といった歴史の出来事を変換法で具体的な物事に置き換えます。
【出来事の暗記】
- イチゴにハチが刺さって、
- そのハチにロケットが衝突し、
- そのロケットにハチが刺さっている、
- そんな変な光景の中、王様が怒鳴りながら(王政復古の大号令)、小さい会議(小御所会議)をぐちゃぐちゃにして、王子に戦争(戊申戦争)するように命令している。
このようにして「年号」と「歴史の出来事」を「連想結合法」で覚えます。
この事例では、0~9の10個の数字による一桁のペグテーブルを使っていますが、実際は00~99の100個の数字による二桁のペグテーブルを使用するのがおすすめになります。
ペグ法で電話番号を覚える
次に電話番号を覚えてみましょう。たとえば、
03-3581-4111
といった電話番号を暗記する場合ですね。電話番号のように長い数字の場合は最低でも二桁用の「ペグテーブル」がおすすめです。
03・・・おっさん
35・・・巫女(みこ)
81・・・肺(はい)
41・・・酔い(ほろ酔いの様子)
11・・・いいね!(SNSで喜んでいる様子)
電話番号「03-3581-4111」を、ペグテーブルに置き換えて、連想結合法で覚えていきます。
【電話番号の暗記】
- 「03(おっさん)」が、「35(みこ)」に抱きついてセクハラしている。
- その「35(みこ)」の「81(はい)」がビックリして外に飛び出した。
- その「81(はい)」に、「41(よい)」が回った人が突っ込んだ。
- 「41(よい)」の回ったお兄さんが、SNSで「いいね(11)」を付けて喜んでいる。
このように覚えていきます。
この例でおわかりかと思いますが、二桁のペグテーブルのほうが使い勝手よくなります。
ペグ法でリストを暗記する
ちなみにペグ法は数字を覚えるだけでなく、もう一つの使い方があります。
それは順番通りに並んでいるリストの暗記です。
リストを覚える場合は、身体に番号を付けておいて身体法を使います。
実のところこの使い方は「基礎結合法」そのものになります。基礎結合法は「ペグ法」をも包括している記憶術ということになります。
このやり方は場所法的ともいえます。暗記したい事項をひっかけておく「記憶の宮殿(場・空間)」があれば、何でも暗記することができます。
記憶の宮殿を使ったペグ法
こうした使い方のペグ法では、覚える場を「身体部位」「十二星座」など、連続しているものを「記憶の宮殿(メモリーパレス)」として使用することができます。
ペグ法とは、いわば「連続している【記憶の宮殿】を使った記憶術」とも言えます。
しがたって、身体法、指法、時計法、部屋法、道法、建物法もペグ法ということができます。
記憶術の基本となる「基礎結合法」はまさに「ペグ法」と言えます。
ペグ法のコツは連想結合法と変換法
いかがでしょうか。
事例をみれば具体的なやり方がおわかりになるかと思います。
で、行っていることは
・連想結合法
・変換法
による方法になります。
この2つの記憶術が「ペグ法」の本質になります。
ペグ法はウィンケルマンが考案
ペグ法はシンプルな記憶術ですが奥の深い記憶術でもあります。
下準備となる「ペグテーブル」の作成にこそ醍醐味があります。本質は場所法と同じになります。
ペグ法は、最初に少し触れましたが、1648年にウィンケルマンが、場所法からヒントを得て開発した記憶術になります。
ウィンケルマン【ドイツ】は数字を覚える記憶術を発明【17世紀】
ウィンケルマンは、ドイル新聞のマールブルクでスタニスロースという偽名でペグ法を発表します。
今でこそ知られているペグ法ですが、当時は画期的な記憶術でした。
現在でも初めて記憶術を始める人は、まず「ペグ法」というくらい定番の方法になっていますね。
PAO記憶術~ペグ法の進化形
ペグ法は改良が続いています。
最初に改良をしたのはリチャード・グレーです。
リチャード・グレー【イギリス】文字変換法記憶術の創始者【18世紀】
現在でも改良が続いています。記憶術のエキスパートであるハリー・ロレイン、マインドマップで有名なトニー・ブザン。彼らもペグ法を改良しています。
ペグ法の改良の中でも特筆すべき進化形の方法は「PAOシステム」です。「PAO記憶術」ともいいます。
PAO記憶術は、
- Person・・・人
- Action・・・行動
- Object・・・モノ
の頭文字を取って付けているので「PAO」といいます。
PAO記憶術は、世界記憶術チャンピオン大会ではよく見かける「トランプの暗記」でよく使われています。
しかし創意工夫によっては、爆発的な記憶ツールになります。
記憶術は工夫・応用・改良が大事
ペグ法もそうですが、記憶術はシンプルな技法に見えて、使い方を工夫したり応用を利かせ、また改良することで記憶の効率が高まるテクニックです。
といいますか実のところ記憶術の秘訣とは、この工夫や応用、改良になります。
上っ面の使い方なら誰でも分かります。しかも「ああ、なんだ」で終わってしまうことも少なくありません。
けれども工夫が施され、応用の利き改良が加えられた記憶術こそ、本当の意味で実用に耐えうる記憶術になります。こうした記憶術に仕上げるノウハウこそ、記憶術の秘訣になります。
工夫が施された実践向けの記憶術といえば「ユダヤ式記憶術」です。ペグ法とも合わせて使うことができる画期的な記憶術です。
ユダヤ式は、複雑な暗記も可能です。大学受験や資格試験には最適な記憶術です。知らざるおすすめの記憶術だったりします。